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■製作所の中を覗き込むと飛び込んできたものは、ただ純粋に製作に没頭する、現代の職人と錬金術士たち…。この製作所は、アイディアやビジョンといった「まだ具体的な形に成っていない」状態のモノを、グラフィックデザインの持つ専門技能・職能を中心に、実際に世に出すための具現・具象化するために、電脳上に開店した「製作所」らしい。
■この製作所では、紙切れ1枚でも、何を考えているのか書いて残していけば、それがどんなに突飛に思えることであろうと、詳しく誰かが話を聴いてくれる。■いち「デザイン事務所」ではなく、特定の「デザイナー」の個人事務所でもなく、広告代理店のように下請けへの発注をまとめる手法でもない。ここは、仮想の製作所。眠っているアイディアやビジョンを形に変える、昔の時代で言えばサロンや集会所のような役割、を持つ。■無形物製作所には、クリエイターや専門技能職、システムエンジニアや伝統工芸士、家具職人、一風変わった職能では芸者などの姿も…プランナーやマーケッター、弁護士、会計士など、モノ創りだけでは補えない職業の姿も混じっている。あらゆる分野の「現代の職人」や「錬金術士」とも言うべきヒトたちが、常に電脳の街に集まって、夜な夜なナニカをカタチにしている。本当に不思議な空間だ。
■この広大な、際限なく膨張し続ける街で、いったい最初は、何を探していたんだっけ。それを実現するための手段を探しているうちに、その手段を探すための手段、を、探していた。なんだかよくわからなくなったけど、どうやら電脳を彷徨う間にいつのまにか、そういう状態に自分が迷っていたらしい。■「餅は餅屋。米は米屋。形の在る「物」ならそうやって探せば良い。」「…だけどもし、本当は形が無い「モノ」「者」を探しているのならば、「物」「名前」から追うのは、この街では危険だ。もともと、ヒトの脳にも心にも、形なんか無いんだよ。」
…「僕」は、そんな言葉を投げかけられて、この不思議な製作所に、望みを託すことにした。
(:2009年12月/「デザイン事務所物語」プロローグ:)

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